日神 氷也の章



「South city」商人の街とも言われ、年中活気ついているにぎやかな街。
多数の民族、人種が共に暮らす中で「日神家」の名を知らない者はいないぐらい名家の跡取りとして生を受けた。
本来なら家運を背負って立つ者として、いろいろ勉強する事も多いはずだ。
しかし、父から命じられた事はたった一つ。

「私の許可なしにこの家から外出する事を禁じる」


最後に外に出れたのはいつだっただろう。
母が亡くなった時....だから...もう10年以上前になる。
母は黒髪に黒い目の綺麗な女性だった。
仕事で忙しく、たまにしか家にいない父より優しい母が大好きだった。
母が生きていた頃は屋敷の外には出れなくても中庭で遊んでもらった記憶がある。

学校など共同の場所へは行かせてもらえなかったので、家庭教師と屋敷の従業員から外の話を
してもらったりもしたが、今ではもう自分から外に出ようとは思わない。
父がそれほどまでに僕を他人に会わせたくない理由は僕が「異端児」だからだ。
「South city」では特にこの「異端児」と言われる能力者を嫌う。
古い土地柄もあるだろうが......特に父は代々続く名家の跡取りに「異端児」を出した事を
恥じているようだ。

望んで特殊な力を持って生まれてきたわけではなくても、その運命のもと生を受けた時に
僕の行く末は決まっていたのだろう。

どこかへ、自分の意思で 跳んで逃げれたらと 何度も思う。

ただ 自分には行動を起こす勇気も度胸もなく 流れに逆らう力もなく

弱い存在のまま  待っている。

何を....?誰を.....?

僕を必要としてくれる 人はいますか?

神様。

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