キリィの章

『黒い翼と月の下で光る十字架』

それは   「黒翼(こくよく)」 と呼ばれる ロザリオ。


かつてオレを支配していたモノ。


皮肉なものだ。
まさか輝羅の「想い人」の首にその印が刻まれているとは思いもしなかった。
この少年は何も知らないようだが......。
どうしてあいつらは「こうや」を見つけておきながら連れ去る事もせず
街ごと消そうとしたのか.....。

近くまでラシュアに送ってもらった時点では感じていたあいつらの気配も街に近付くにつれ消えた。

目にしたのは懐かしい光景。
折り重なる死体の山。
オレが此処に来る事も...全部わかっていて貴方が命令したのだろう?
街にまかれていたのは神経系に作用する毒ガスらしく、まきこまれた人間の顔は地獄絵そのもの。

オレは.....この光景を知っている......忌わしい記憶。

所詮すべては貴方の手の上という事か。

黒翼の総統  『ロン』


この状況で生き残っている人間がいるのかどうか...疑問だったが......
その少年は独りで立っていた。
体は無傷でも.......心が壊れて泣いている、行く処をなくした子供。
『ノア』がオレを此処によこした理由がわかったような気がした。
「こうや」はあの頃のオレに似ている。

決められた運命から逃れたくて........居場所が見つけられない......独りではどうする事もできず

ただ救いの手を求めてあがく。


誰でもいいから、助けてほしかった。

オレの場合は『ノア』だった。

だから、お前はオレが連れて行ってやるよ.....「こうや」

お前を待っている人のいる場所。

行こう。


パラサイト ノアへ............


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